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ラドゥ・ルプーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調「月光」

降りそうで降らない・・・・と思っていると俄に雨が降り出す・・・
今年の梅雨は気まぐれです。
午後からは晴れ間が見えて、暑くなりました。そして、夜は月夜。十三夜でした。

で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調「月光」。

ラドゥ・ルプーのピアノ独奏。
1972年6月、ウェスト・ハンプステッドでの録音というから、ルプーがメジャーデビューして間もない頃のもの。

第1楽章から、テンポがかなり遅く、たっぷりとした深い響きが印象的。溢れんばかりの情感がこめられた演奏。
なかなか前に進まない。臆病で、振り返ったり、ためらったり、時に後ずさりするような演奏。気の弱い、しかし頭脳明晰で知性に恵まれた青年の演奏とでも云うべきか。
ピアノの音は、空間を彷徨するような、うつろな音色が特徴。音色、テンポが一貫して全くロマンティック。
ああ、ルプーは「1000人に一人のリリシスト」だった・・・・・。
この感触こそ、ルプーがシューベルトで聴かせてくれたものだった。
漂いつつ消えてゆくピアノの残像、そこはかとなく薫ってくる優しい風情。ああ、ルプーの「月光」は何と胸に迫る演奏か。霞がかった月夜のような、ため息が聞こえるような演奏。

第1楽章がためらい・ため息ならば、第2楽章は微笑みの中の哀しみ。長調なのに、ほの暗い哀しみが漂う。消えゆくピアノの残響に、ハッとするような儚さを感じさせるのがルプーの真骨頂。
そういえば、録音は残響過多で、ルプーの蒼白いピアノの音色がイマイチ伝わってこない。30年以上前の録音だから仕方ないか。

ただ、残響のおかげで、雰囲気はとりわけ豊か。ニュアンスが広がってゆく感じがする。

終楽章はピアノの疾走。技巧は完璧で、音の粒立ちはよい。音量が大きくなっても、速さが極まっても造形が崩れないのはさすが。
音量が大きいと書いたが、実はそんなに大きくない。ルプーのピアノには強烈で居丈高なフォルティシモがない。どこか抑制の利いた、感情を剥き出しにしないフォルテ。
このへんが、ルプーの知性がなせるところかな。抒情派と呼ばれる所以だろう。


そうそう、この演奏のピアニシモは、どの楽章も、息を呑む美しさ。
ルプーの本領は弱音にあります。
壊れてしまいそうな美しさがあります。


AUTHOR: 猫よしお DATE: 03/03/2008 12:54:40 お世話になります。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「月光」。
名曲だけに昔から名盤が目白押しですね。
ルプーのピアノ。
おっしゃるようにピアニシモ、弱音が美しいですね。
誠にロマンティックな凛々しいピアニストであります。
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