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ベートーヴェンの交響曲第5番 ハ短調 「運命」 バレンボイム/ベルリン・シュターツカペレ

ベートーヴェンの交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」。
ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレの演奏。
1999年5~7月、ベルリンの旧東ドイツ放送局第1スタジオで収録された全集盤からのもの。TELDEC原盤。

純ドイツ風の重厚さで迫ってくる伝統のベートーヴェン。
古色蒼然たる響きで聴き手を包み込む重量感のあるオーケストラが素晴らしい。ベルリン・シュターツカペレの剛毅な音が前面に出てくる演奏。

ピリオド奏法や古楽器団体の演奏が全盛の時代にあって、これほど古いタイプのベートーヴェンをやるのだから、バレンボイムもスゴイ。フルトヴェングラーの時代に遡ったような感じ。カラヤンやベーム、バーンスタインでも、こんな重厚剛毅強靱な響きのベートーヴェンはやらなかった。とすると、やはりこれがバレンボイムが目指すフルトヴェングラーを意識しての演奏なのだろう。

第1楽章の強さ。もう堂々たる「運命」。その音が見事。そやそや、ベートーヴェンの「運命」だもの、こういう音でやらにゃ、感じが出んぞよ・・・と膝を叩く場面しきり。
テンポが中庸だが、音がとにかく強いので、もう王者の風格満点のベートーヴェンになっている。近来稀に見る(聴く)伝統スタイル。こういうの久しぶり。エエなぁと思う。

第2楽章は一転、たっぷりしたテンポで遅い。じっくりと旋律を歌わせつつ。対向旋律などにも配慮して、対位法的作風を明らかにしていこうとする感じ。昼間部のチェロの美しい歌は、悠久たる大河を思わせる名演奏と思う。
ティンパニの強打、トランペットの輝かしく強靱な響きも最高。弦楽合奏も充実、このトラック6分過ぎのトゥッティが減衰して消えゆくときの余韻余情は、いや全く絶美。たまらない美しさ。

第3楽章は緊張感で一杯。ホルンやトロンボーンは見事。ヴァイオリンが両翼配置なので、響きが左右に大きく広がってゆくのもイイ。聴いていて、オーケストラに包み込まれてゆく安心感、心地よさがある。演奏は緊張感で一杯なのに、聴いていると、その包容力に感動してしまう。

そして、フィナーレは勝利の大行進。凱歌。雄叫び。ベルリン・シュターツカペレが目一杯鳴り響いて、それこそ大爆発している。素晴らしい。
苦悩から歓喜へ。勝利の凱歌は、こうでなくちゃ。気持ちいいほど、オケが唸り、叫んでいる。

録音も素晴らしいです。
重厚な響きが広がり、左右・高低ともに音がよく伸びていきます。残響も大変美しいです。
ティンパニの音ヌケがもう少し良ければもっとカッコイイのになぁと思うんですが、もしかするとあえて目立たせないようにしたのかもしれません。
弱音でも音がやせず、生々しさが伝わります。その緊張感がまたエエんです。
バレンボイムのうなり声はご愛敬。臨場感に一役買っているかもしれません。

ネットの世界をボンヤリ眺めていると、バレンボイムはあまり評判よろしくないようです。
そんな気がします。
そこで、ちと、褒めてみました。



AUTHOR: 鞍馬天狗 EMAIL: tenga@eagle.ocn.ne.jp DATE: 02/06/2008 07:42:00 おはようございます。
この全集、確かにCD市場では、評価が低すぎるかも知れません。バレンボイムはベーレンライター版を研究しつつも、あえて確信犯的にブライトコプフ版をベースに演奏していて、更に「英雄」第1楽章のコーダではスコアと異なり、トランペットのテーマを、最後まで吹かせています(しかし、吹かせ方は大人しめ、喝!もっと堂々と吹かんかい!)。この改訂の採用が、この全集の方向性の一端を物語っていますね。また同じオケでも、録音がスイトナーのデンオンとは全く違いますね。こちらの方が、このオケの本来の美質に近いのでは・・・、とにかく古めかしくかつ重厚で、そこが長所です。
古楽器派の、ティンパニが音楽の推進役になる音楽ではなく、全体のハーモニーで聴かせる「運命」、中々悪くないです。
ところで、「運命」でトロンボーン奏者が待ちくたびれた挙句、やっと演奏に加われるのは、第4楽章に入ってからです。
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コメント

こんにちは。
バレンボイムの全集は、イメージのみが先行しているかもしれません。
まずオーケストラの音色。「重厚」というのは一面、ちまたで「渋い」というのはちょっと違うかもしれません。
むしろ、包み込むような温かみがあり、各楽器の音色の分離が良いので
色彩感があります。録音も優秀で、左右の高低の掛け合いはもとより、
遠近の奥行きもあります。
次に演奏、アタッカとレガートの双方の良さを発揮しています。
迫力と美しさがあります。流れも自然で、たとえばラトル/ウィーン・フィル
のような小細工した面は最小限に抑えられています。
お薦めできる全集と思います。


バレンボイムはCDショップの店頭デモでチョイ聴きしたことがあるだけですが、ドイツ人よりもドイツらしい「全体のハーモニーで聴かせる」威容のある演奏だった記憶があります。

>グリュミオー盤・・・、HMVに輸入盤2枚組廉価盤がありました。注文してみようかと思います・・・
 さっそくHMVで検索しましたよ。これです。私のオーディオと相性が悪いのは。もっとも相性というのは難物で、別のシステムではどうなのか、なんとも言えませんが。


>鞍馬天狗 様
こんばんは。いつもお世話になります。コメント感謝です。
そうです、そうです、バレンボイムはブライトコプフ版をベースにしているようですね。オケもスウィトナーと同じSKBなのに、ずいぶん音が違いますね。古色蒼然、重厚な音がします。往年のBPOがこんな音だったような気がします。1960年頃の、カラヤンが就任間もなくの頃のBPOが、クリュイタンスと録音したベートーヴェン全集(EMI)が、こんな音がします。重みのある、腰の据わった音でした。

しかし、トロンボーン奏者、暇ですねぇ・・・・・・さすが鞍馬天狗さん、オケの内部のこと、よくご存じですね。ありがとうございました。
これから、トロンボーン奏者に注目して聴いてみたいと思います(^^)V

>猫よしお 様
こんばんは。いつもお世話になります。感謝です。
バレンボイムはフルトヴェングラーに私淑しているんでしょうね。もちろん、マネではなく現代的にアレンジして振っているんでしょうが。
ベートーヴェンやモーツァルトのソナタも何枚か持っているんですが、指揮者としてのバレンボイムを聴く方が多いです。ベートーヴェンの重厚さは確信犯的な演奏で、面白かったですし、シカゴ響とのブルックナー全集(旧盤)なども結構面白く聴けました。

「運命」は名盤目白押し。スゴイ演奏が多いですね。

>天ぬき 様
こんばんは。いつもお世話になります。感謝です。
バレンボイムのモーツァルトはイギリス室内管と組んだ交響曲もピアノ協奏曲も、楽しかったです。イイ演奏でしたね。
指揮者としても凄いなぁと思うんですが、確かに言われてみれば「才能の浪費」なんでしょうかね。CBSに録音したBPOとの演奏には面白いものが結構ありました。

ムラヴィンスキーの「運命」、スミマセン。未聴です。彼のベートーヴェンはいつか聴いてみたいと思っています。

>furtwan 様
こんばんは。コメントを有り難うございました。
バレンボイムの全集、録音エエですよね。左右の掛け合いはとても面白かったです。ただ、僕の装置のせいか、奥行き感は今一歩でした。
音は重厚ですが、音色は確かに暖かいですね。ただ、あまり残響を録っていない感じなので、剛毅なイメージで聴いておりました。もっとも、これも僕の装置のせいかもしれません。
アタッカとレガートについては、聴いていて全く気づきませんでした。ありがとうございました。今度じっくり聴いてみようと思います。

>hiromk35 様
こんばんは。コメントを有り難うございました。
バレンボイムの全集は、古楽器団体やピリオド奏法全盛の現代にあって、往年の演奏、伝統様式を思わせる、古くさいもので、それがまた非常に面白く聴けました。

グリュミオーの「春」、HMVの輸入盤こそ、hiromk35さんが放逐したものでしたか!それは、再考します。ありがとうございました。
だって、僕のスピーカーは、hiromk35さんと同じターンベリーですから。
国内盤を探します(^^)V

こんばんは。
ベートーヴェンの「苦悩から歓喜へ」の思いがぎっしり詰まった第5番「運命」、いつ聴いてもその世界へ引き込まれます。
バレンボイム盤は世評がよろしくないようなので、入手を控えていました。同じSKBではスウィトナー盤を聴いていますが、旧東ドイツらしい曇りのない、クリアで推進力のある演奏に、好感が持てます。SKBによるフルトヴェングラーばりの演奏も、聴いてみたいところです。

それから、お気に入りの一枚はクレンペラー/PO盤です。いかにも「運命」と言った、落ち着いたテンポに説得力があり、音の一つ一つが聴き手に迫ってくる、気迫の演奏です。




こんばんは。
寒い日が続きます。

私もこの全集好きです。
常に重心の低いバランス、sfも音のピークが音符の頭より少し後に来る感じというのでしょうか。
時代楽器がひとしきり脚光を浴びた後で、
こんな古式ゆかしい演奏を聞くと、逆に新鮮味を感じたりします。
このコンビでは同じ流儀でシューマンも出ていますね。

トロンボーンの話が出たので。
交響曲という分野で、トロンボーンが初めて用いられたのはこの曲です。
目立たないところで、高いファの音が要求されているのですが、
この音以降、これより高い音が要求されている交響曲は無かったと思います。

>ヤマちゃん 様
こんばんは。コメントを有り難うございました。
「運命」は、若い頃から大好きなんですが、トシをとって聴いてもやはり名曲は名曲ですね。ただ、この頃は、聴くと少々疲れます。
これもトシのせいかと思います。
バレンボイム盤は、スウィトナーと同じオケながら、重厚な音がします。別のオケのような感じさえします。面白く聴きました。

クレンペラー盤、あれも凄かったですね。遅いですし、スケールは大きいですし、大変巨大なベートーヴェンと思いました。

>hsm 様
こんばんは。お寒うございます。まだまだ寒い日が続きそうですね。
さて、バレンボイムのベートーヴェンはまさに古式ゆかしい演奏でありました。面白く聴きました。確かに、sfが遅れてくる感じですね。
このコンビのシューマンは聴いたことがないんです。いつか聴いてみたいですね・・・・・と言いつつ、ラックがシューマン全集で溢れそうですので、今、買い控え中です(^^ゞ

交響曲にトロンボーンが初めて用いられたのは、この曲だったんですか。それは知りませんでした。有り難うございました、
そういえば、それまでの曲にはトロンボーン、思い出せません。
トロンボーンの登場を楽しみに聴いてみますね(^.^)

こんにちは。

 そうですね。バレンボイム、意味無く低評価ですね。
 ちょっと辛辣な言い方をしてしまうと、バレンボイムの音楽は柄が大きいので、手に余る人、消化不良を起こしちゃう人が少なくないのではないかと思います。日本の評論家筋などは、何でもそつなくこなせちゃう人って嫌いですから。
 ベルリンどころかスカラでトリスタンを振れる、ということが、「そつなくこなせる」なんてレベルでは無いのは明らかなのですけどね。

 あ、あと、やたらと録音が多いのも気に入らないのではないかと。でも、彼のベートーヴェンは確かに立派なものですけどね。ワーグナーも面白いし。


>Verdi 様
こんばんは。いつもお世話になります。
なるほど、バレンボイムの音楽は柄が大きいですね。消化不良を起こしてしまいそう・・・・・・うんうん、と頷いておりました。言い得て妙ですね。
それに、バレンボイムのワーグナー!これ、スゴイと思います。当代きってのワーグナー指揮者ではないかと僕は思っています。録音以上に、最近は実演の評判がスゴイですね。絶賛の嵐のようです。これ、CDではなく、実演で是非聴いてみたいです。
スカラ座でワーグナー・・・・確かに、なかなかできない技でしょう。
ありがとうございました。

全集私も持っています。以前は、モーツァルト、マーラー、ブルックナーのシンフォニーを好んで聴いており、ベートーヴェンのシンフォニーはなんだかカサカサした感じでうるさい音楽と敬遠しておりましたが、バレンボイム盤でいっきょに開眼しましたので、私にとっても恩のあるCDです。しかしながら、いろいろな名盤を聞き込んでいるうちに、バレンボイムの演奏はどうも鼻につく感じがあって(つたない表現ですみません)、残念ながら現在はほとんど聴いていません。バレンボイムそのものは、もの凄い好きなアーティストですが。シュターツカペレの演奏は総じて好きですが(例えば、スウィトナーやザンデルリンクの演奏)、ホールが響きすぎて音が飽和してしまうことが時々感じられるんですね。私の勝手な想像ですが、ひっとしたらバレンボイム+オケがシカゴだとまた違った感じになるのかもしれません。


>一太郎 様
おはようございます。コメントを有り難うございました。
バレンボイムの全集、一太郎さん開眼の全集でしたか。昔ながらのドイツ風、重厚なイイ演奏と思いました。ただ、表現意欲が強い人なので、時々僕も鼻につきます。アクが強いというか、匠気というか、聴き手を感心させないと気が済まないタチのひとなのかもしれません。
ベルリン・シュターツカペレの演奏では、スウィトナーのベートーヴェンも素晴らしかったですね。愛聴盤です。
バレンボイムとシカゴのコンビニもイイ演奏が沢山ありました。ブルックナーの旧盤全集などは、僕は感心して聴きました。

こんばんは。バレンボイム盤、私にとって”最新の”ベートーヴェン全集(録音年代でも購入時期でも)になります。最近の録音でオーソドックスな演奏のものを加えておこうということで、ヤマチクのセール価格で購入したのですが、何曲か聴いてみた印象は皆さんのコメントどおりで_特に録音面、響きの関係で飽和状態_というのは言い得て妙で、確かにスッキリしたものではありません。音響がイマイチの日本のホールで聴く生演奏に近い、と言えなくもない_尤も素晴らしい音響の外国のホールでなんぞ聴いた経験はありませんが。さて、当方には今夜、オーダーしていたカラヤンのボックス(デッカとEMIの声楽編)その他が届きましたが、mozartさん方はいかがですか?述べたいこと、整理中です。ではまた。

>shibera 様
おはようございます。コメントを有り難うございました。毎日寒いですね。
さて、バレンボイムの全集、重厚な音の塊が迫ってくるような感じで、独特の力強さがあると思います。響きが飽和している感じでもありますが、現代のピリオド奏法全盛にあって、得難い個性かなとも思います。
shiberaさん、DECCAの声楽曲シリーズもご購入でしたか。僕のところには昨日、EMIの2つのボックスが着きました。ポツポツ聴き始めています。1940年代~50年代末までのモノラル録音が、まあまあ聴ける状態なので楽しめそうです。
いずれエントリーしてみたいと思う演奏もありました。3連休で楽しみましょう(^^)V

お世話になります。バレンボイム盤の感想では有りませんが、違う意味で一太郎さんやshibera さんのコメントに共感するところがあったので、私も一言。
最近思うのは、東京のサントリーを初めとする新しいコンサートホールは残響過剰で、tuttiで音が飽和状態になりがちで、ベートーヴェン等の音楽の厳しさを表現するには、不向きな面が有るのではないか、ということです。
私は昨年、築後80年近い日比谷公会堂でショスタコの交響曲の全曲チクルスを聴きましたが、そのダイレクトに音の飛んでくるホールの音響特性の迫力の凄さに驚いたものです。
演奏者に残響による誤魔化しの効かない、古いデッドなホールの良さを、もっと再評価すべきだと思います(話題のムラヴィンスキーのベト4の東京ライブも、デッドで名高い東京文化会館での演奏でした)。

mozart1889様 こんばんは
正直、5番でバレンボイム氏が登場するとは予想外でした。。。(笑)

 私、この全集結構期待して、購入した記憶があるのです。でも実際には、あまりよく聴いておりません。実は3番で挫折して、飛んで5番・9番。私のヘボイ耳では、よく分からない全集のひとつです。
 それでも今も、心のどこかに引っかかっていて、また聴きたくなる時期が来るまで、棚の中で冬眠中です。オリジナル楽器による演奏、ペーレンライター版による演奏が話題の頃に、なんでこの演奏なの?と・・・バレンボイム氏とか、1999年の録音とか意識しなければ、それはそれで楽しめる演奏とも思えるのですが、・・・変なコメントで失礼しました。

>鞍馬天狗 様
こんばんは。コメントを有り難うございました。
なるほど、残響が多すぎるホールだと、そんな感じになるんですね。ここのところ、実演からとんと遠ざかっていますので、残響が多い方がエエような気がするんですが、そういうものなんですね。
日比谷公会堂や東京文化会館は昔のホールですので、直接音が多かったですね。思い出します。
家で録音を聴いている分には、残響が多い方が良いようです。電気を介しているからか、直接音の多いホールは音が硬く感じます。
実演となると、なかなか、その響きも難しいものなんですね。勉強になります。有り難うございました。

>みー太 様
こんばんは。コメントを有り難うございました。
おっしゃるとおり、バレンボイムの全集は、ベーレンライター版とかピリオド奏法がもてはやされる時代に、あえて時代に逆行するような重厚長大演奏でした。確信犯的な演奏だろうと僕は思いました。
その点では、大変に面白く、好奇心一杯で聴き通してしまいました。
古い演奏ですよね・・・・1999年録音とはとても思えませんね(^.^)

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