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シューベルトの即興曲集 D.899 ウィルヘルム・ケンプ(Pf)

この2日間、四国は冷たい雨が降っています。気温はやや低め、しかし雪にはなりません。
静かな雨の夜に、道行く車が時折しぶきを上げる音を聞きつつ、こんなCDを取り出しておりました。

シューベルトの即興曲集 D.899
ウィルヘルム・ケンプのピアノ独奏。
1965年3月、ドイツ・ハノーヴァーのベートーヴェンザールでの録音。DG盤。
ケンプのシューベルト・ピアノ作品集所収の1枚。

D.899の3が素晴らしい。変ト長調アンダンテで約7分の小品なのだが、何度でも聴き返したくなる名品。
ホンマに美しい旋律。心の中に染みとおるような、心の中にある懐かしい思い出をふと思い起こさせるような、しっとりと美しい旋律。

シューベルトは何と美しいメロディを書いたのだろう。柔らかく澄んだ空気の中を、静かにたゆたうように流れゆくメロディ。うっとりと、、夢見るように美しい。

老巨匠ケンプが、その佳品を慈しむように弾いてゆく。暖かい愛情がこぼれてきて、部屋いっぱいに優しい想いが満ちてゆくような演奏。そして音楽の表情が刻々と変化してゆく、デリカシーいっぱいの演奏でもある。音楽の表情(と言うか、聴き手の印象だな)が聴き進むにしたがって変化する名人芸的な演奏。
テクニックはもうさすがに衰えているのか知らんが、聴き手はその芸の世界に浸ってしまう。
若者が淡いロマンを抱いているようなところもあり、老人が過去を懐かしんでいるようなところもあり、ああケンプのシューベルトは何と詩情的で抒情的に響くことだろう。

この曲は慈愛といたわり、心の絆、そんなことを思わせる。
こんなささやかな曲なのに、これほどの感動がある。シューベルトは素晴らしい。
そしてケンプも。

録音はふつうです。
ピアノの音がやや細身で、透きとおるような感じです。DGでのケンプは、だいたいこういう音のようです。
少し乾き気味の音で、淡々と響きます。もう少し潤いがあってもエエかなと思うんですが、シューベルトの作品自体に潤い・独特の湿り気がありますので、こういう音づくりの方がいいのかもしれません。
40年も昔の録音としては聴きやすい音質と思います。


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J・S・バッハの平均律クラヴィーア曲集から グスタフ・レオンハルト(cemb)

輸入盤CDは、激安BOXの時代であります。
1999年ころからだったでしょうか、CDが随分安くなったなぁと思っていたんですが(EMIのクリスマスBOXなどがそのハシリでしたね)、特に今年はその傾向が強く、また沢山発売されました。というより、沢山買ってしまいました。もともとワタクシは廉価盤・中古盤大好き、コスト・パフォーマンス重視、安物買いの○○○・・・・・・でありまして、しかも「○枚買うと割引しまっせ」という広告に弱いものだから、ついつい某輸入盤サイトのショッピングカートにブツを放り込んではクリックしてしまう・・・・・・。嗚呼。学生時代のビンボー根性が染みついてしまっているんですなぁ。
もっとも、CD(LPもそうだったが)は「見つけたときに、欲しいときに買っておかないと、すぐになくなっちゃう」(中古盤は他人に買われてしまう、新譜はすぐに廃盤になってしまう)という鉄則がありまして、ですから、クリックするときには常に「今買わなんだら、いつ買うんぞ!」と自分を叱咤激励するわけであります。

その結果、今年はBOXの山であります。そして、案の定、全部聴けない・・・・だって音楽鑑賞の時間がそうそう取れる訳ではないから・・・・で、結局ミチョランマ(未聴の山、未聴峰未踏峰)になってしまうんです。
まあ、しかし、やがて隠居したら膨大な鑑賞の時間が取れて聴けるだろうと、タカをくくっているんですが・・・・その時にはまた新しいCDが増殖しているかもしれない・・・ああ、恐ろしい。

で、今日はそんなBOXから取り出した1枚を。

J・S・バッハの平均律クラヴィーア曲集から。
グスタフ・レオンハルトのチェンバロ独奏。
1962年、1972~73年、キルハイムのフッガー城糸杉の間での録音。独ハルモニア・ムンディ原盤。

ご存じピアノの「旧約聖書」。ピアノで聴いてもよし、チェンバロで聴いてもよし。クラヴィコードの演奏もあった。名曲やなぁと思う。
レオンハルトのこの演奏はソニー・BMGの60枚組BOX所収のハイライト盤。いくつかのチェンバロを弾き分けているのだろう、様々な音色を楽しみながら聴くことができる。少し音量を絞ってモゾモゾと夜中に聴くのは最高。チェンバロのかそけき幽玄の趣を持つ音は、夜半過ぎに聴いていても家人に迷惑にならないのがイイ。そして、聴きながら思索瞑想にふけるのも乙なものか。

レオンハルトの演奏は学究肌のもの。アーティキュレーションなどは独特だし、使用楽器にも一家言あるのだろう。音・響きは素晴らしい。克明に弾きながらも、ロケーションが例の糸杉の間、優雅な残響が聴き手を暖かく包み込んでゆくので、冷たい感じがあまりしないのが良い。しみじみとした味わい、枯淡の風さえ漂ってくる。

第1巻。
BWV849の荘重な美しさ。対位法で作られた大伽藍のように音楽がそびえ立つ。
BWV860は軽さとリズム感がイイ。諧謔の味わいが薫るプレリュードに鮮やかなフーガが追ってくる。

第2巻。
BWV875が躍動感と引き締まった緊張感が良い。これは名演奏だろう。
BWV881の憂愁。物思いに沈みつつ、音楽が深く広がってゆくのは見事。
嗚呼、バッハは千変万化。素晴らしい。

録音は見事なもんです。
長期間にわたっている録音なんですが、音色の統一感があります。
レオンハルトのカッチリとした演奏を美しく捉えるとともに、それを優しく包み込む残響の美しさは格別であります。
フッガー城糸杉の間、素晴らしいですね。



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J・S・バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 シェリング(Vn)

我が家2階の書斎から眺める石鎚山も冬の佇まいであります。
庭の木立は木枯らしに揺れております。
ああ冬。寒い冬が来ました。

今日はしみじみヴァイオリンを聴いてました。

J・S・バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004。
ヘンリク・シェリングのヴァイオリン独奏。
1967年の録音。DG盤。

だらだらとクラシック音楽を聴く日々、時折取り出すバッハの音楽には、身の引き締まる思い。無伴奏のヴァイオリン・ソナタとパルティータは特にそう。
これだけの名曲をよくぞバッハは書いたものだ。ヴァイオリンたった一本で、遙か宇宙の彼方まで広がってゆくような音楽をつくり出す。その音楽は祈りにも似ている。

演奏はヘンリク・シェリング。
この人のヴァイオリンは真摯誠実で大変格調高いものだった。美音をひけらかすことなく、技術を前面に押し出しすぎず、精神性とか形而上学的なもの、そういったものを想起させるヴァイオリンだった。慌ただしく過ぎ去る日々の中で、ふと立ち止まらせて、聴き手の心の中での対話を思い起こさせる演奏とでも云おうか。

シェリングのヴァイオリン、低音は朗々と、高音は余情豊かに、鳴る。そしてよく歌う。歌はベタつかず、穏やかに流れるだけでなく、情感をともなって歌われる。ヴァイオリンの音色がそう感じさせるのか、その情感には憂いが込められているようにも思える。

白眉はやはりシャコンヌ。
峻厳に迫ってくる見事な演奏。聴きながら、心にどんどん入り込んでくる。シェリングの本領発揮、面目躍如の名演と思う。

録音は今も十分に美しく、鑑賞に差し支えありません。
ヴァイオリンが静謐な空間にクッキリと浮かび上がります。
DGの器楽録音はこの時期上々たったと思います。録音からすでに40年を経て、ますます価値高い演奏であり録音と僕は思います。


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ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」作品24 ペーター・レーゼル(Pf)

ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」作品24。
ペーター・レーゼルのピアノ独奏。
1972年、ドレスデンのルカ教会での録音。独シャルプラッテン原盤。

秋はブラームス。ブラームスといえばヴァリエーション。

ブラームスは変奏曲の大家だった。ハイドンの方は管弦楽の名曲。こちらヘンデルのは、ピアノの楽しさをいろいろ教えてくれる名曲と思う。約26分の演奏時間、そう長い曲ではないので、時々「ながら聴き」して楽しんできた。

レーゼルのピアノは誠実堅実にして清潔。この人の演奏は、いつ聴いても清楚で、しみじみと味わい深いものだ。派手なことはないし、地味なタイプだと思うのだが、よく聴いていると実によろしい。肌触りがイイというか、耳当たりが良いというか、聴いていて無理がないのが良いのだろう。
音も、中音が充実していて着実そのもの。高音などはことさら色彩的に奔らない。
そうそう、レーゼルは、フランスやロシアものも得意にしているから、オールラウンド・プレイヤーなんだろうな。来日してベートーヴェンのソナタの連続演奏会をやるようだし、今や大家だろう。一度、実演を聴いてみたいと思う。

この演奏も実に堅実で、一曲一曲の描き分けもしっかりとしていて、音色や響きの調合具合も理にかなった変奏と云うべきか、大変自然で無理がない。
音の強弱もビックリするようなことはなく、ダイナミックレンジはそう大きくない。しかし、フォルティシモではズドンと来る低音が見事だし、ピアニシモでは少し怖いような静寂を聴かせてくれる。中庸の美と云えばそれまでだし、何となく特徴に乏しいような気もするのだが、じっくり聴いていると、うんうんと肯いてしまう。派手さはないが、しっとりと心に響く演奏と思う。

録音状態良好であります。
濡れたようなしっとり感のあるピアノの音がエエです。この音、ブラームスにピッタリと思えます。
ルカ教会の残響も見事でありまして、ああ、家庭で聴くピアノ曲はかくありたいものと思える録音であります。


さて、この2週間は大変忙しく、ゆっくり音楽が聴けておりません。
ノンビリした時間が欲しいもんですが、中旬過ぎまではこの状態のようです。まあ、元気で頑張りまっしょい。、


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~「秋はブラームス」2008~ 「4つのバラード」作品10 ミケランジェリ(Pf)

台風の後も雷雨が続きまして、伊予西条は急に涼しくなりました。
秋です。秋を感じます。

で、秋の風物詩を一つ。
日曜は秋の菜園造りをしました。丁寧に畝をつくって、大根と蕪の種まき、ブロッコリーは苗を植えます。順調にいけば、12月には大根を喰えそうです。

もう一つ。今年初物のワタリガニが届きました。漁に出るのが好きなご近所さんの投網であります。山ほどくれましたので、軽く湯がいて喰いました。これがまた旨いこと!瀬戸内のワタリガニは、やはり最高です。

というわけで、秋です。秋はブラームスであります。
今年で4回目になりました。我ながら、よく続くもんです。
信州で頑張る頑固店主のensembleさんのお誘いのおかげです。

今日は、ピアノ曲から。

ブラームスの「4つのバラード」作品10。
アルトゥール・ベネデッティ・ミケランジェリのピアノ独奏。
1981年2月の録音。DG原盤のLPであります。。

作品10のピアノ曲集は、ブラームス21歳、青春の作品であり若々しい佳品。
メロディの美しさをいたずらに追いかけることなく、和声の美しさや構成の美観を感じさせる曲を、ブラームスは沢山書いた。
このバラード集も、おそらく最もロマン派的で旋律の美しさを際だたせることが出来るな形式なのだろうが、ブラームスが書くと、様式美を優先しているような感じがする。

そして、ブラームスの音楽は、戸惑い、ためらい、途中で歩みを止めて、思いあぐねる。この若書きの作品も、基本的には、そういったブラームス的な作品と思う。音楽が逡巡するのだ。ホンマに個性的な作曲家だなぁと思う。

もちろん、ブラームスには珍しく(というか若い頃のブラームスはそうだったのか)ロマン一杯で若々しい輝きも出ている。

そういう作品を、ミケランジェリが丁寧に、デリケートに演奏してゆく。即興的なところもあるのだが、それさえも周到に考え抜かれ、計算され尽くしている感じ。理知的な演奏と云っても良いだろう。
そしてピアノの音の美しさ。一つひとつの音が粒だって、光を放っている。その光が、キラキラと輝いたり、鈍く光ったり、時には華やかな光で、あるいはボンヤリとした光で・・・・もう様々に変化してゆく。それがスゴイ。ミケランジェリの真骨頂だろうなぁ。

録音は少し硬い感じ。
デジタル初期特有の硬さと云うべきでしょうか。ミケランジェリのピアノはもともと硬質の輝きを持っているので、それに応じた録音なのかもしれません。
ミケランジェリ独特の響きの美しさ、多彩さは十分に鑑賞できます。
いいLPでありました。

<秋になると、「秋はブラームス」をエントリーしてました>
■2007年
 ●ルービンシュタインのピアノ協奏曲第1番
 ●ケルテス/VPOの交響曲第3番
 ●ケンペ/ミュンヘン・フィルの交響曲第1番
 ●ワルター/コロンビア響の交響曲第4番
■2006年
 ●ブレンデルの「恋人たち」
 ●ショルティ/シカゴ響の交響曲第1番
 ●カラヤン/BPOの交響曲第1番
■2005年
 ●ライスターのクラリネット三重奏曲
 ●ベーム/VPOの交響曲第1番 1975NHKライブ
 ●ルービンシュタインのピアノ協奏曲第1番(メータ/イスラエル・フィル)


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