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シューベルトのピアノ・ソナタ第4番 イ短調 D.537 ミケランジェリ(Pf)

さて、9月であります。
我が家の高校生は新学期、大学生は今月いっぱいは休暇であります。

今日はシューベルトを聴いてます。

シューベルトのピアノ・ソナタ第4番 イ短調 D.537。
アルトゥール・ベネデッティ・ミケランジェリのピアノ独奏。
1981年2月の録音。DG原盤。カップリングはブラームスのバラード集。

全曲約22分のシューベルトの佳品。
ミケランジェリのピアノの音色が千変万化して、聴いているとクラクラしてしまうほど綺麗。ホンマに美しい。圧倒的。参ります。

そしてニュアンスの多彩なこと。一つの楽器から、かくも様々な音が出てくるものか。ピアノの音そのものが美しいのは勿論なのだが、それがキラキラ光ったり、墨絵のような渋い色調になったり、時には水彩画のようなパステルカラーで揺らめいたり・・・・まあ、その色彩感がスゴイ。色の移り変わりだけでも楽しめる演奏。

フォルティシモは逞しく、かつ美しいし、ピアニシモではため息が出るほど、これまた綺麗。

この音の美しさの魅力には抗いがたい。

演奏は、シューベルトにしては雄弁な感じ。ウィーンの内気な青年シューベルトの木訥さよりは、しっかりと自身の言葉で物語を綴ってゆくような感じの演奏と云えるかな。
テンポも全く正鵠、聴いていてしっくり来る感じの速度。造形も見事なプロポーションで、ヘレニズム文化のように柔らかく均整の取れた彫刻を想像させるような佇まい。

第1楽章アレグロ・マ・ノン・トロッポ、第2楽章はアレグレット・クワジ・アンダンティーノ、第3楽章アレグロ・ヴィヴァーチェ。

各楽章の描き分けも見事で、三双一幅の絵画を見ているような、聴感であった。

録音は今も十分に美しく、鑑賞に不備なし。
ミケランジェリの素晴らしいピアノは余すところなく伝えてくれます。
DGの初期デジタル録音なんですが、硬い響きにならず、しっとりとした音も聴かれます。
デジタル時代になって、ピアノの硬質な響きがなおいっそう美しく録れるようになったなぁと当時思ったもんですが、このミケランジェリの1枚は、その典型と思います。


昨日は徳島に行ってきました。
四国合唱コンクール、三男坊の出場でありました。結果は金賞、しかし、いわゆる「ダメ金」、全国大会出場はなりませんでした。NHKコンクールも四国大会銅賞でしたので、息子もこれでひとまず部活動引退であります。受験生にならなくちゃいけません。
9月は季節の変わり目であります。


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ショパンの夜想曲集 マリア・ジョアン・ピリス(Pf)

8月も末、田舎道ではコオロギが盛んに鳴くようになりました。
いつの間にか、涼しい夜風、朝風が吹くようになりました。
そういえば、日が暮れるのも早くなりました。つい、この間まで、随分夜が来るのが遅かったのに。

秋が来ているようです。
こういう季節になるとしみじみショパンでも聴きたくなりますねえ。

ショパンの夜想曲集。
マリア・ジョアン・ピリスのピアノ独奏。
1995~96年、ミュンヘンのグローバーザール、ロンドンのヘンリーウッド・ホールでの録音。

残響が夢見るように広がってゆく。美しいショパン。
同時にピリスよって考え抜かれ、磨き上げられたショパンとも云える。知性と感性の絶妙なバランス。情に溺れすぎず、勿論、理屈だけのショパンでもなく、その辺がうまく均衡して、大変に美しいショパンになっている。何より、心に訴えかけてくるものが強い。

ピリスの知情意のバランスの取れた演奏は、DENON時代のモーツァルトでも聴けたのだが、腕の故障から復帰した後は、更にそれに自身が加わった感じ、自身のスタイルに確信を持って演奏しているのがうかがえる。

一曲一曲が珠玉の美しさ。高貴と言ってもいいほどの見事な出来。

録音は実に雰囲気豊か。
間接音が多いので、ピアノの音がふっくらして、暖かい感じがする。
音場感はやや人工的なところもあるのだが、何しろピアノの音が美音なので、聴いていて心地よくなってしまう。

こういう音楽を聴いていると、ショパンはやはりサロンの人だったと思う。
小さな世界の、小さな宇宙。しかし、その宇宙の、何と個性的で何と広いこと。

ピリスのショパンを聴いていて、そんなことを思っておりました。



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シューベルトのピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D.960 内田光子(Pf)

雷とともに激しい夕立。
久しぶりの降水で、夜が過ごしやすかったです。今朝も涼しく、快適な目覚め。
さあ、ジョギングに行きまっしょい!

さて、今日はシューベルトのピアノ曲。

僕は、歌曲の王・シューベルトの歌を殆ど聴きません。歌詞が分からないので、ついつい敬遠してしまいます。
しかし、ピアノ曲は大好き。ソナタもエエですし、即興曲や幻想曲など、名品が沢山あります。どうも僕にとってのシューベルトは、交響曲作曲家でありピアノ曲の作曲家であるようです。

で・・・・・シューベルトのピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D.960。
内田光子のピアノ独奏。
1997年5月、ウィーンのムジークフェラインザールでの録音。フィリップス盤。

残響が多く、夢見るような録音。ムジークフェラインの余韻が美しい。
ダイナミックレンジも大きいが、内田光子のピアノの音のエッジが丸いので、あまり鋭く刺激的なところがないのがイイ。

シューベルトの心情が漂っていくような感じの演奏。
シューベルトのピアノ・ソナタは歌に溢れ、美しいメロディが次々に現れてくるので、ボクは大好き。ただ、音楽が(いや、歌が)行ったり来たりで、なかなか元に戻らないというか、前に進まないというか、結論が出てこないので、ソナタらしくない。だから、しっかり聴こうとするよりは、ピアノの響きに身を委ねて、音楽に浸る感じで聴くのが良いようだ。

その点で、内田の演奏は情感豊かで、思いが一杯、ハッとするようなフレーズや音色が曲の進行とともにあちらこちらで聴ける感じで楽しい。また、飽きない。
シューベルトのピアノ曲は演奏如何で冗長に感じる時があるから、内田のような演奏が良い。

内田のピアノは、音が柔らかく、ソフトなタッチでしっとりと聴かせてくれる。
そして彼女のピアノは、没入する。彼女は「死ぬ時には、シューベルトを弾いていたい」と云っていたと思う。なるほど、この演奏は彼岸の境地にでも至ったかのようでもある。詩的で、時に霊的、霊感に打たれたような内田のピアノがスゴイ。第2楽章など、特にそう感じる。

シューベルトのピアノ曲の中でも、最も美しいものの一つだろうと思います。
夭折したシューベルト、その死の年の作品でした。


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モーツァルトのピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K.457 内田光子(Pf)

猛暑は続きます。そして、いつの間にやら8月。
四国伊予路は7月以降まとまった雨がなく、水不足も心配されます。何しろ、この日照で屋根が焼けて、家中が暑いこと!どこにいても暑い。特に2階は暑くてたまらない。

これだけ暑いと、音楽鑑賞どころではありません。ことクラシック音楽に関しては、「夏枯れ」・・・・本来はシーズン・オフの時候なんですよねえ・・・・・・。
と、書きつつも気を取り直して、モーツァルトのピアノ曲でも聴きましょう。

モーツァルトのピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K.457。
内田光子のピアノ独奏。
1984年5月、ロンドンのヘンリーウッド・ホールでの録音。フィリップスの全集盤から。

1980年代には大いに話題となり、各方面賞賛、日本人ピアニストがメジャー・レーベルでバンバン録音していくことに大いに驚いたものでもあった。
それまでに、日本人演奏家でこれだけ多くのメジャー契約をしていた人、小澤征爾しかいなかったんじゃないか・・・。ド素人とはいえ、同じ日本人として僕は嬉しく、LPを1枚1枚買っていった記憶がある。そしてCDの全集を購って・・・。
どのソナタも美しく、また繊細な演奏で、大いに感動したものだった。録音も、さすがにフィリップス、素晴らしかったなぁ。

後で知ったことだが、内田のソナタ全集は、曲の調性ごとにピアノの調律を変えたそうだが、それが聴感にも影響を与えているのかな。(僕は鈍感で、あまりよく分からないんだが・・・)

このK.457の演奏も素晴らしい。

第1楽章モルト・アレグロ。
モーツァルトの短調は暗くて悲痛。じっと深く沈み込んでゆくような暗さが聞こえてくる。内田光子のピアノはその辺が実によく出ていると思う。

第2楽章アダージョ。
渋く落ち着いた曲想の音楽。それを表現する内田のピアノがまた深い。
しっとりと潤いのある響きもあれば、軽くはじけるような響きもある。味わい深く、老成したピアニストのような渋い音も聞こえてくる。
それらがみんな実にいい音で、しかもニュアンス多彩、変化に富んでいる。素晴らしいと思う。

第3楽章はアレグロ・アッサイ。
軽やかなフィナーレ。内田のピアノは天馬空を行く。ああ、モーツァルトの飛翔がここにはある。


録音は、これもしっとりとしていて聴きやすいものです。
四半世紀昔の録音になりましたが、今も上々です。
内田光子はモーツァルトのこのソナタ全集で、一気にメジャーになったのでした。ブレイクしたんでした。
内田光子若かりし頃の響きであります。
今の内田なら、もう少し深い音が出るのかもしれませんが。



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J・S・バッハのプレリュード、フーガとアレグロ BWV998 ナルシソ・イエペス(リュート)

暑くて、夜寝られません・・・・・。

いえ、クーラーを入れて寝ればエエんでしょうが、身体に良くないですし、第一電気代が勿体ない(という吝嗇倹約なワタクシ・・・・・CDはナンボでも買うのに・・・・・笑)。
この数年、我が家周辺の開発が進み、田んぼが減少したせいでしょう。中古車屋にショッピングモール、葬祭センターに住宅展示場がどんどん建って・・・・・・田んぼが減ってアスファルトになるとイケマセン。
今まではいくら暑くても「田を渡る風」が涼しく快適でありました。真夏日でも夜になると窓を閉めて寝ていたくらい。

しかし、今は暑い。アスファルトはイケマセン。田んぼがエエんです。

さて、今日は。

J・S・バッハのプレリュード、フーガとアレグロ BWV998。
バロック・リュート独奏はナルシソ・イエペス。
1972~73年、マドリードでの録音。アルヒーフ原盤。

夏の暑い夜、バロック音楽で涼むのはエエもんです。

特に、今日聴いているバロック・リュートの涼やかな響きは、蒸し暑い夜には実に心地よい。緑の木陰を思わせるような、優しく爽やかな音色に、気分がスッキリ。部屋の中を風が抜けてゆくような錯覚にとらわれる。

演奏は名手・イエペス、もう安心して音楽に身を任せればよい。

第1楽章 プレリュートは、重厚な感じ。対位法を楽しめる。
第2楽章 フーガはバッハ得意の技巧。
第3楽章 アレグロはスペインを思わせる音楽で、哀愁も漂う。

という3楽章構成、10分ちょっとの小曲だが、全くこれは佳品と思う。
鄙びた、素朴な音が、時にゾクゾクするほどデリケートな響きになって、しかも色彩的に聞こえてくるのがとても不思議。単純単調な楽器なのになぁ。
これバッハの作曲技法のなせる技かな。イエペスのたぐいまれな技巧のためか。
いろいろな聞こえ方をするから、音楽は楽しい。バッハはやっぱりスゴイ。

録音は上々です。
素朴な楽器にふさわしく、あまり弄っていない、自然で素直な録音であります。
余韻が特に美しく、うっとりします。


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